車椅子用オーダースーツ
車椅子オーダースーツイメージ 車椅子専用オーダースーツ
車椅子=身障者=癒しとつながる現代社会情勢の中で、もっと前向きに身体の不自由な方にも社会参加してもらうために、ラ・サラは考えます。
一般のスーツは立ち姿用にできているため、車イスでは「腕が動かにくい」「床ずれが起こる」「着崩れする」などの欠点があり、車イス利用者からのヒヤリングによりリストアップされた120項目以上の改良点を、龍谷大学との産学連携で研究・開発を進め、製品化に至ることができました。
車椅子での着ごこちや機能性を追及し、随所に斬新なアイデアを盛りこんだスーツをこれからも日々探求しつづけます。
ビジネスシーンにはビジネススーツ、フォーマルなシーンにはフォーマルスーツを着こなして違和感なくおしゃれを楽しみ、仕事をこなせるようなスーツ作りを目指してまいります。
着る人のニーズで選べる各機能
一般のスーツでは、上着の肩の部分は、2枚の布を縫い合わせるのに対し、開発したスーツは4つのパーツを立体縫製し、肩パッドも外すことで、肩の周囲にゆとりを持たせて、車輪を回すときの負担を軽減しました。また、ゆとりを持たせることで、その他の行動でも動きやすく疲れにくく、布地の密着による群れも防止し、床ずれの防止にもつながります。
ズボンも尻の部分も、一般より4枚多い6枚の布で構成し、車イスに長時間座っていても、違和感を感じないなどの工夫を凝らしています。また、座る姿勢に合わせてズボンのウエスト部分を斜めのカーブに裁断。ヒジやヒザも曲線に仕立ててシワや着崩れ防止に配慮しました。車イスのハンドリム回す際にスーツの袖が邪魔にならないように、袖が捲れるようにマジックテープで開閉できる仕立ても施されています。
機能機能機能
■車椅子をこぐために、腕の動きを考え広くとられた背広と4ピースで縫い合わされた背中部分。なお肩パッドは入れてありません。
■車椅子に乗ると腕を曲げる姿勢が多いため、予め袖の部分を曲線に仕立てて、シワや着くずれを少なくします。
■Vゾーンを小さめにして、衿もとが開くのを防ぎます。また、腹ぐせをたっぷりとることで、お腹のツッパリを消すようにしています。
機能機能機能
■ジャケットの裾がだぶつかないようにサイドベンツの重ね部分を多くとり、その裁断も曲線を採用しました。
■車椅子のハンドリムを回すのに、袖口が捲れるように、マジックテープで開閉できる仕立てです。
■このように袖口を捲ってマジックテープでとめて、ハンドリムを回すときに袖口がじゃまにならず、安全に操作できます。
機能
■ベルト部分を曲線状にすることで、後股上を深くしました。また縫い合わせを多くとることで、ゆったりとした仕立てで、楽な座位姿勢がとれます。
機能
■パンツの裾上げは、逆モーニングカットで前裾を長くして、裾がつり上がらないようにしています。
機能
■うしろ膝を曲げやすくするために、うしろ膝の関節部分に、切れ目を入れ縫い合わせてあります。また前後を曲線で仕立てることで膝のあまりを消しています。
機能
■尻まわりは、立体裁断で分割された部位を、紙風船の構造で曲面に仕立てることで、身体に密着することなく、またポケットを省くことでも床ずれを防止しています。
機能
■股上を浅くすることで、座位姿勢時の下腹部のふくらみを抑えます。
従来のスーツを産学連携で改良
バリアフリー社会が進んでいくなかで、服飾業界も介護用衣服だけでなく、社会に出る為の衣服を提供していこうと考えています。車椅子でも元気に働いておられる方も多く、またこれから働きたい方も増えてきています。
しかし、一般のビジネススーツは立ち姿用にできていますので、車椅子では「腕が動かしにくい」、「床ずれが起こる」などの欠点が多くありました。
私たち60人以上の身障者の方からヒアリングをおこない、120項目以上の改良点をピックアップしました。それを龍谷大学RECの村井教授との産学連携で研究しながら絞り込み、座った姿が美しくて操作しやすいオーダースーツとして商品化することができました。
■龍谷大学社会学部教授 村井龍冶教授
現職、龍谷大学社会学部臨床福祉学科教授。
専門分野は障害者福祉、仏教福祉。その傍ら、産官学の協同事業を目指した「龍谷福祉フォーラム」の会長を務めており、変動している福祉環境に対応した新たな福祉事業、福祉機器の開発等に関心がある。現在、市町村におけるITを活用した福祉・保健・医療サービス利用システムの研究開発を企業と協同で進めている。
著書「障害者福祉概論」(学文社)「障害福祉」(中央法規出版)など多数。
滋賀県介護保険審査会委員、京都府運営適正化委員会委員など多数歴任。
龍谷大学社会学部教授 村井龍冶教授